夫の不倫相手が外国人!?日本の法律で慰謝料請求って可能なの?

不倫調査を行なっていると年に数件ですが「不倫相手が外国籍だった」というケースがあります。
不倫相手が日本人でない場合、実は予想以上に話が厄介になります。
結論を先に言うと「慰謝料請求等の法的な措置は取れますが、拘束力はありません」
つまり、訴える事はできるけど、それに従うかどうかは相手の出方次第。
実質責任を負わなくてもよい…となれば、外国人相手への慰謝料請求は有名無実なのが現状です。
では、なぜこのような自体になってしまうのか?
その背景の解説をしていきます。
(1)不倫相手にも責任を追求する日本は世界でも珍しい国
不倫相手にも責任を追求する/慰謝料を請求する…という行為の背景には「自分(妻側)の権利を侵害したことに対する償い」という意味が含まれています。
これに対して諸外国では「不倫の原因は元々夫婦関係が破綻した結果であり、不倫相手は夫婦関係の破綻には無関係」という考え方が一般的。
世界的に見ても「不倫問題は、不貞行為を行なった当事者とその配偶者の問題」でしかありません。
そのため、既婚者の日本人男性と不倫をした外国人が妻側に訴えられても、逆に「何で私を訴えるの?そっちの夫婦の問題でしょ?」となってしまうのが大きな理由です。
文化の違い…と言ってしまえばそれまでですが、この認識の差を埋める事は現実的には難しいでしょう。
余談ですが、具体例を見ても不倫をした当事者のみがペナルティを負う事が多いようです。
・アメリカでは、不倫をした当事者が全責任を負い、多額の慰謝料等を全額負担が一般的。
・フィリピンでは姦通罪として刑法違反に該当し、不倫をした当事者が禁固刑。
・イスラム圏内では、不倫をした当事者が死刑。
(2)日本の法律はあくまでも日本国内でしか適応されない
これは国際法にも関係して来るため細かい点は割愛しますが、端的に言うと「日本で起きた問題は日本国内で解決するのが原則」だからです。
そのため、不倫相手の外国人が自国へ帰国してしまうと、法律の適応外になってしまいます。
国内にいるうちは日本の法律に従い訴訟を起こす事は可能ですが、一度でも帰国されてしまうとその時点でアウト。
刑事事件の場合な外務省を通じて身柄引き渡しを要求する事もできますが、不倫問題は民事事件のためそこまで要求する事はできません。
(3)言葉の壁
示談交渉や訴訟を行う上で、一番厄介な問題が言葉の壁、特に「文字」の問題です。
ただでさえ外国人にとって日本語は難しく理解ができないのに、さらに法律用語ともなると、余程専門的な勉強をした人でないと理解できません。
例え、口頭で意味を理解したとしても何が書いてあるかわからない誓約書にサインをする人はいないでしょう。
(逆に、日本人がいきなりタイ語やアラビア語の資料を読めないのと同じイメージです)
在日期間が長い/日本で生まれたが国籍は外国という人なら、言葉の壁は無いように感じますが、それでも細かいニュアンスが伝わらず話が進まない事はよくあります。
そうこうしているうちに時間切れ(慰謝料請求の時効3年経過/一時帰国して責任を取らない)で逃げられてしまうパターンが多いです。
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泣き寝入りしないためにできる事
外国人相手に責任追求や慰謝料請求をする事はできても、実際にその償いをさせる事が難しい現実は変わりません。
だからと言って、泣き寝入りするのは納得できないし、それ以前に日本にいるのだから日本のルールで対応するのが筋というものでしょう。
不倫相手が外国人と判明した時点で「スピード勝負」になる事を覚えておいてください。
繰り返しになりますが、相手が帰国した時点で勝敗は決してしまいます。
泣き寝入りという結果にならないためにも、迅速かつ確実に証拠を集め、場合によっては相手の母国語に訳した訴状を用意するぐらいの気持ちを持ってください。
帰国してしまえば日本の法律適応外…とは言いましたが、慰謝料請求自体は行えます。
支払いに応じる気がなかったとしても、妻としての怒りを形に残す事で、相手側を牽制する事は十分に可能です。
不倫の証拠が自国に帰ってしまうと不倫問題自体がうやむやになり、夫への責任追及も難しくなる可能性が出て来ます。
そうならないためにも問題を迅速に解決する事で責任の所在を明確化し「不倫相手に支払い能力がない」として、全責任を不倫の当事者である夫に求める方法が現実的な解決策でしょう。